仕事を辞めたい男から見る 職業:アイドル
今更なんだけれどもアンティーカの新曲ほんとにすき
メタルがすきだからアンティーカすき
ジャケットも最高にすき
そんなことは関係なく、病院を移り半年近く経って臨床を辞めることばかり考えている
もはや転職サイトを眺めることくらいでしか気晴らしが出来ない、食欲は沸かないし、下痢は治らない。
視界の隅に張り付いている広告のリンク先によるとぼくは軽度の抑うつ状態らしい、原因ははっきりしている。仕事が合っていないのだ。合わない薬を変えるように仕事を変えなければいけない。
愚者は経験に学ぶというが実際に経験しなければわからない事はたくさんある。
- ぼくは動物の命を救うこと、苦しみを取り除くこと、飼い主から感謝されることにやりがいや達成感を感じない人間であった。目の前の命より自分の睡眠時間の方が大事だった事。
- この業界は想像以上に仕事が好きで向上心のあるヤツばかりだという事。
- 明らかに他の人間よりとろくて要領が悪い、おそらくワーキングメモリが少ないのであろう。
- そして意外だったが年収なんて300万ちょっとあれば不自由なく過ごせる事。
- ぼくは特段やりたい仕事があるわけでもなく自分の生活費を稼げれば満足な事
- 土日祝に取れない休みは人を孤独にする事。
- 診察してみると意外と銀鳩は大人しい事。
…こうして並べてみると臨床を続ける理由なんて欠片も無いことが良く分かる。
このまま続けていてもぼくは平均以下の無能な勤務医にしかなれないし、そんなやつを飼ってくれるような余裕のある動物病院はまず存在しないだろう。
そもそもこれっぽちの収入で命を扱う責任と高度な専門知識を要求しようというのがおかしいのではないか?長い人生で続ける”仕事”として成立させるにはあまりにも個人の使命感、やりがい、向上心に依存しすぎている。
動物病院で働く獣医師はそんなハードな仕事を選ばなくても食っていける資格を持った人たちなのに…
シャニマスの話をしよう
そんな事ばかり考えているなかノクチルのファン感謝祭シナリオが実装された。
特にアイドルという仕事やファンとの関係性をはっきりと描かれていない樋口円香はどうなるのだろうと思っていたが、登場して半年以上経過しようとも完全にはアイドル堕ちしない樋口円香という少女。
そもそも僕が今いる業界は彼女たちの世界のアイドル業界に近いものがあると思っている。給料や福利厚生よりも、やりがいや達成感で働き、その職業自体への憧れが前提として必要な仕事なんだろう。
ぼくが辞めるつもりの小動物臨床も間違いなく”かっこいい”仕事のうちの一つだ。
そんなアイドル業界に憧れではなく”大切な幼馴染と一緒にいたいから”なんて理由で飛び込んだ彼女にはある種の共感を勝手に覚えてしまう。
そんな樋口円香も仕事自体には間違いなく真摯で結果を出している(ぼくと違って)。
求められるパフォーマンスの為には努力を惜しまないし、しっかりアイドルとしての樋口円を演じることができるだけの能力を備えている一方、他人からの期待に応えられないことを恐れる非常に人間らしい弱さも持ち合わせている。
そんな彼女の本心は、そんなこと思ってもないだろと突っ込みたくなる演技もあいまって非常にわかりづらく描写されている。
WING敗退で判明するのは、あれだけ嫌がっていた”暑苦しさ”が自分の中にもあるけどもそれを認めたくないことだが、優勝した後でもはっきり言及されることは無く、とにかくアイドルという仕事に対するスタンスが固まっていない感じがする。
明らかに情熱や熱意の劣っている自分が評価されることに対する不信感を抱いているのは、幼馴染と一緒にいたいという欲望のためにアイドルを始めたことに対する負い目みたいなものが根底にはあるのではないかとぼくは勝手に思っている。
葛藤や自己矛盾を抱えながら。ある意味冷徹な視線を持ちながらアイドルを続けるキャラがいてもいいのではないか?
きっとそんな姿勢でもアイドルを続ける姿は、別に好きでもない会社の言うことを聞き、やりがいもない仕事を続けるプレイヤーの心に響くと思う。
シャニPに完全に堕ちるのは構わないが、アイドルに完全に堕ちるのはやめて欲しいと思うのはぼくが歪んでいるからなのだろうか?