干からびたトカゲのしっぽ

日々遺されて乾いていく

やっぱりレイトショーがいい

社会人などという抽象的な概念に分類されて4か月、ブログを始めることにした。

 

修行のためにと就職したのはいいものの、学ぶ相手が長期休暇でいなくなり自分の存在意義などという20代にもなった男が向き合うにはバカバカしい課題に耐えられなくなったからだ。

そして今日観たトイストーリー4で、ボニーに選ばれなかったオモチャとしてのウッディの姿に、子供に遊んでもらうオモチャとしての存在意義を失いかけているカウボーイの姿に、心底いたたまれなくなったからだ。

短絡的な行動をボーに叱られ、何もせずにただ立っていろと言われる姿を見て、まるで社会での俺のようだと泣きそうになったけど、Twitterに感想を書くにはナイーブすぎて嫌になったのだ。

だからいまいち笑えなくて、それなりに長い文章を書く場所をここに決めた。

 

自分は獣医師だ。

とはいっても動物について啓蒙だの問題提起だのをするつもりはまるでない。そんなことは使命感と正義感に燃える獣医師にやらせればいいのであって、ボンクラのオタクの仕事じゃない。

 

ウッディたちのような意思決定の自由もない犬や猫たちにワクチンを打って、彼らの病気になる自由まで奪う仕事をしている。

 

明らかに向いていない接客業だからか、卒業してから5キロ痩せた。元々ひどく痩せていたので、もう骨格標本に人の皮を張り付けたようなものに近づいてきている。

 

「ちゃんと食べてるのに体重が減っている…おかしいですね、不安なのでしっかりと検査しましょう」

 

そんな業務上の思いやりも提供する側の自分には届かない。手に入らない商品を提供し続けるのは、カカオ農園で働かされる恵まれない子供たちになった気分だ。

 

明らかに向いていない接客業をクビになって、牛たちに肩までフィストファ〇クしに行くのかは分からない。

確かなことはウッディのようにあがきもせず、ただ毎日を空虚に過ごし始めているボンクラがここにいるということ。

 

とにかくトイストーリー4だ。

あの完璧な終わり方をした3の後に何をするつもりなのか?ターミネーター3のように別人となったアンディが登場するのか?ウッディたちが必死に破壊したスカイネットは高機能分散型システムだったのか?

 

そんな期待を胸に映画館に向かったのだが、昨今のディズニーを象徴するかのような、自立した女性像、奴隷からの解放などといったポリコレ要素や、今まで見て見ぬふりしてきたオモチャの自由意志まで踏み込んだテーマ性に面食らってしまってイマイチ乗り切れなかった。

 

何よりウッディのアンディとの絆、アンディが舞台から退場したいま、ウッディの忠誠心として魂に残るそれを放り投げて自由意志を手に入れ新たな世界に向かっていくウッディに「マジでそっち行くの!?」と個人的に残念だった。

 

自分が08小隊のパイナップルみたいな髪型のじいさん(ノリスだっけ…?)やギアスのオレンジみたいに忠義に生きるキャラが好きだっていうのもあるんだろうけど…

 

所有者のいないオモチャ。忠誠よりも、寄る辺ない自由を選ぶ物語をトイストーリーというシリーズでやるのはどうなんだろう。帰る家を失う物語をみる子供たちはどう感じるのだろうと子連れでぎっしりの映画館のエンドロールを見ながらそう思った。

 

何より自分とそう大差ない年齢のママが子供を連れて映画館に来ている現実が恐ろしかった。自分はこれでいいのか?もう昼間に映画館行かない。高いし。

 

トイストーリーの記事で始めたのにアレだが、とりあえず劇場公開していない古い映画や読書記録はこちらに残そうと思う。